表4は、滞空局面において最高点に達した時点での腰、膝、足関節の伸展角度、および頭部の身体後方への伸展角度(背屈の角度)を計測し、各年齢の平均値を比較したものである。腰、膝、足関節の伸展角度は、いずれも経年的に増大しており、年齢が増すにつれて空中で身体が十分に伸展されるようになることを示している。頭部の背屈の角度は、2歳では小さい(18.1°)が、年齢とともに増大し、6〜8歳(57〜58°)では十分に後方へ屈曲されていることがわかる。こうした頭部の背屈の増大は、空中での身体の伸展の増大と頭上の目標への十分な注視を可能にすると考えられるので、幼児のJump and reachの動作にみられる発達的特徴のひとつといえる。
要約
2歳から8歳の男児124名を対象に、頭上の目標物へのリーチングを課題にして、最大努力での垂直跳(Jump and reach)を実験的に行わせ、年齢にともなう跳動作の変容を調べた結果、以下のような発達的な特徴が明らかになった。
2. Jump and reachにおける腕の動作は、6つのタイプに類型化され、年齢とともにリーチングのみられない未熟なタイプ(Type.E)から、上方への有効な振り込みタイプ(Type−A)へと変容することが明らかになった。また、腕のリーチング動作の反作用として、逆の腕を下方へ振り下ろす動作(Arm opposition)が、年齢とともに増加した。